MVP アントニオ猪木
- 年間最高試合賞
ジャンボ鶴田 vs ハーリー・レイス
1月20日/帯広/NWA選手権戦
- 最優秀タッグ賞
- ジャイアント馬場&ジャンボ鶴田
- 殊勲賞
- ラッシャー木村
- 敢闘賞
- キム・ドク
- 最高殊勲選手
- 藤波辰巳
- 努力賞
- 園田一治/小林邦昭/スネーク奄美/石川隆士
- 大衆賞
- 上田馬之助/アブドーラ・ザ・ブッチャー
寸 評
プロレス大賞選考委員会はスタートから大モメにモメた。鶴田VSレイス、猪木VSバックランド、猪木VS坂口、鶴田VSドク戦など八試合がベストバウト候補に各委員からノミネートされて議論百出。これは日本マット界が年々、充実されてきている証明でもある。最初の投票で過半数を超えるものはなかった。鶴田VSレイス(1月20日、帯広大会)のNWA世界ヘビー級戦が五票。そして猪木VS坂口(MS・Gシリーズ、4月21日、蔵前大会)が四票。「この二試合から再選考する」と選考委員全員が一致。
決戦投票では猪木VS坂口が七票、鶴田VSレイス戦と僅差だった。
「猪木VS坂口はプロレスの神髄だった。そして二度の延長と最高試合賞に最もふさわしい。あの熱気、ムードは筆舌に尽くしがたい。蔵前にいたものでなければ……」と猪木VS坂口戦を推す選考委員は〝これがプロレスだ!〟と強調。
「帯広で試合をやったということを差し引いても、鶴田VSレイス戦こそは最高試合賞ものだ。あのレイスを苦しまぎれの防衛に追い込んだ鶴田の技量といい、NWA世界チャンピオンの底力を見せつけたレイスの根性と言い――」となり、全くの平行線。
一時は「双方の試合を最高試合賞へ」というムードになった。しかし「最高試合賞は一つでなければ、賞の重みがなくなってしまう」という意見で再度挙手。ここでも票差は変わらずの僅差。過半数の八票を超えたNWA世界ヘビー級戦の鶴田VSレイスに落ち着いたわけだが、猪木VS坂口戦こそ隠れた年間最高試合賞といえる。
最優秀選手猪木、最高殊勲選手藤波、最優秀タッグチーム馬場、鶴田組は年間の活躍からおしてスンナリと満票に近い数字を集めたのは当然だろう。
1978年度のプロレス大賞が例年と違うのは、日本人フリーの努力賞が認められたことと、大衆賞に限り最もポピュラーな選手ということで外人にまでワクが広げられたことである。ただ一つ残念なことは、藤波(大賞獲得で除外)を除いて技能賞に価する選手がいなかったこと。選手各個人には大いに技を磨いてもらいたいものだ。
大賞外として、国際プロレス社長吉原功氏が特別功労賞に選出されたのは「プロレス生活25周年」の記念行事として開催した日本リーグ争覇戦で国際、全日、新日、韓国勢といった選手を揃って同じマットへ上げ、日本統一へ大きな足がかりを作った〝功績〟に対してである。
[選考委員長]高橋典義(東京スポーツ編集担当取締役)[選考委員]田鶴浜弘(評論家)/小島貞二(評論家)/小池幸雄(フクニチ)/松下正雄(新大阪)/山浦力(レジャーニュース)/大加戸康一(デイリースポーツ)/竹内宏介(ゴング)/野崎當司(プロレス)/山田隆(日本テレビ解説者)/桜井康雄(東京スポーツ-テレビ朝日解説者)/門馬忠雄(東京スポーツ-東京12CH解説者)/長田基(東京スポーツ)/永島勝司(東京スポーツ)/川野辺修(東京スポーツ)/加藤知則(東京スポーツ)(順不同)