MVP 大仁田厚
- 年間最高試合賞
大仁田厚 vs ターザン後藤
8月4日/東京レールシティー汐留/WWA認定ブラスナックル選手権
ノーロープ有刺鉄線電流爆破マッチ
- 最優秀タッグ賞
- 武藤敬司&蝶野正洋
- 殊勲賞
- 三沢光晴
- 敢闘賞
- 船木誠勝
- 技能賞
- 天龍源一郎
- 新人賞
- 青柳政司
- 30周年特別功労賞
- アントニオ猪木/ジャイアント馬場
- 特別功労賞
- 坂口征二
- 特別大賞
- スタン・ハンセンVSビッグバン・ベイダー
2月10日=東京ドーム、
6月12日=福岡国際センター
- 話題賞
- 北尾光司
寸 評
まさに戦国時代の象徴だ。邪道、キワモノ、名勝負、死闘……世間の評価は真二つに分かれている。自らも「何が飛び出すかわからない」と断言。従来の常識を破天荒に突き破る大仁田厚が〝2冠王〟に輝いた。激動の’90マット界の象徴的シーンといっていい。
4月、日本マット界のエース天龍源一郎が全日本プロレスを離脱し、巨額の資本を投入した新団体SWSが設立された。それと同時に全日本プロレス、新日本プロレス、そしてUWFの3団体による事実上の「独占市場」体制が崩壊。SWS、FMW、ユニバーサル連盟、パイオニア戦志の7団体が乱立し、互いにシノギを削り合う戦国時代が到来している。
それがそのまま今年のプロレス大賞選考委員会に反映した。MVP(最優秀選手賞)ベストバウト(年間最高試合賞)の2大大賞の議論は〝大舌戦〟と化した。
真っ先に議論されたのはベストバウトだ。東京ドームを揺るがせた天龍VSランディ・サベージ(4・13)新鮮な感動を呼んだジャンボ鶴田VS三沢光晴(9・1)IWGPヘビー級王者を374日ぶりに奪還した長州力VSビッグバン・ベイダー(8・19)そしてノーロープ有刺鉄線電流爆破マッチという奇想天外な装置で話題を集めた大仁田厚VSターザン後藤(8・4)。候補は4試合に絞られたが舌戦は白熱する一方だ。「大仁田が誰もやらなかったことを実現させた勇気は大きい」「鶴田と三沢は体力、気力、技術、すべて出し尽くした。内容的に一番濃い」「天龍VSサベージは最高の内容。あれがプロレスリングだ」「長州はあの試合で初めて猪木に並んだ」
誰もが譲らない。これではいつまでたっても決まらない。やはり〝予備投票〟を行うしかなかった。その結果、大仁田VS後藤、天龍VSサベージの2試合に絞り込まれた。そして決選投票――。大仁田VS後藤が9票、天龍VSサベージが8票。17人の選考委員が1人でも心変わりしていたら、ベストバウトの行方が逆転する大接戦だった。
大激論のベストバウトに対し、MVPは大仁田で衆議一決だった。
「未知へのチャレンジ」。大仁田の評価はこの一点に尽きた。次から次へとデスマッチを実現させ、その集大成が8・4電流爆破マッチ。体中を傷だらけにし、リング上で号泣し、明日なきバク走にすべてを打ち込んでみせた。MVPが12票ですんなり大仁田に決定したのも、大仁田の〝危険な必死さ〟を選考委員が肌で感じたからなのだ。
[選考委員長]桜井康雄(本紙取締役編集局長)[選考委員]鈴木晧三(写真部部長)/加藤知則(第二運動部部長)/川野辺修(第二運動部次長)/堀内良夫(写真部次長)/柴田惣一(第二運動部主任)/吉武保則(第二運動部)/山下賢次(第二運動部)/木明勝義(写真部)/松下正雄(週刊ファイト)/山本隆司(週刊プロレス編集長)/清水勉(週刊ゴング編集長)/川副宏芳(日刊スポーツ)/安部正之(デイリースポーツ)/栗原研一郎(内外タイムス)/菊池孝(プロレス評論家)/門馬忠雄(プロレス評論家)/二宮清純(プロレス評論家)(順不同)