MVP 小橋健太
- 年間最高試合賞
高田延彦 vs 天龍源一郎
9月11日/神宮球場
- 最優秀タッグ賞
- 蝶野正洋&天山広吉&ヒロ斎藤
- 殊勲賞
- 天龍源一郎
- 敢闘賞
- 田上明
- 技能賞
- 小川良成
- 新人賞
- 近藤有己
- 女子プロ大賞
- 井上京子
寸 評
MVPの選考は、年間最高試合賞天龍を含めて小橋、田上明、橋本真也の4人で争われた。天龍は当然として、田上は『チャンピオン・カーニバル』と『世界最強タッグ決定リーグ戦』、そして3冠、世界タッグを保持して、いわゆる〝年間グランドスラム〟を達成。橋本はIWGP王者として新日本プロレスを支えてきた。小橋も3冠王者の風格が出てきたと言ってもいい。
いずれも甲乙つけがたい存在となったが、目を引いたのは小橋の熱血ファイト史上最年少での3冠獲得の偉業だった。年間を通じて全力でぶつかっていく姿勢は、ファンの支持も高く、各選考委員も称賛した。
鶴田、天龍、三沢ら歴代3冠王者がいずれも30代での戴冠だったのに比べ、小橋は29歳での新王者。世代交代が比較的ゆるやかな全日本プロレスにあって、この小橋の実績は、十分評価に値する。投票でも橋本5票、田上と天龍の2票を大きく引き離す11票を集めた。確かに田上の実績には劣る面もあるが、来年への期待も込められている。
3冠王者に君臨しているが、課題も残されている。四天王の中でも、小橋は川田と三沢にシングル戦で勝ったことがなく、対ウィリアムス戦も勝率ゼロ。さらに『チャンピオン・カーニバル』も制していない。97年はいきなり1月シリーズで三沢との3冠戦が組まれているが、これが試金石となるだろう。三沢を下して3冠を守り抜けば、文字通りの新エース。MVPを糧として、大いなる飛躍の年としてくれるだろう。
日本一、いや世界一のハイレベルなレスリングを誇る全日王国を支える若き3冠王が、他団体との対抗戦に乗り出したら、MVPとベストバウトの〝2冠王〟も夢ではない。
各団体のスターが一堂に会する1月4日の表彰式で〝初夢〟が弾けることを、それこそ期待したい。
[選考委員長]桜井康雄(東京スポーツ新聞社取締役編集局長)[選考委員]芳賀章(東京スポーツ新聞社編集局次長兼第二運動部部長)/堀内良夫(東京スポーツ新聞社写真部部長)/柴田惣一(東京スポーツ新聞社第二運動部次長)/寿浦恵一(東京スポーツ新聞社第二運動部)/平塚雅人(東京スポーツ新聞社第二運動部)/楠崎弘樹(東京スポーツ新聞社第二運動部)/高木圭介(東京スポーツ新聞社第二運動部)/紙谷光人(東京スポーツ新聞社写真部)/秋山直毅(東京スポーツ新聞社写真部)/内井義隆(サンケイスポーツ)/牧元一(スポーツニッポン)/宮本久夫(デイリースポーツ)/山崎照朝(東京中日スポーツ)/川副宏芳(日刊スポーツ新聞社)/福留崇広(報知新聞社)/福島則幸(内外タイムス社)/浜部良典(週刊プロレス編集長)/小佐野景浩(週刊ゴング編集長)/木場田好直(週刊ファイト)/菊池孝(プロレス評論家)/門馬忠雄(プロレス評論家)(順不同)