MVP 蝶野正洋
- 年間最高試合賞
三沢光晴 vs 小橋健太
10月21日/日本武道館/3冠ヘビー級選手権試合
- 最優秀タッグ賞
- 川田利明&田上明
- 殊勲賞
- 三沢光晴
- 敢闘賞
- ハヤブサ
- 技能賞
- 近藤有己
- 新人賞
- 藤田和之
- 女子プロ大賞
- 平成裁恐猛毒GUREN隊
- 25周年特別賞
- 新日本プロレス/全日本プロレス
- 功労賞
- 長州力/工藤めぐみ/ジョー樋口
- 特別賞
- アニマル浜口
- 話題賞
- 小川直也
寸 評
97年のマット界は蝶野に始まり、蝶野に終わった1年と言っていい。米国みやげの黒いTシャツを着て2月の新日マットに凱旋して一気に大ブレーク。NWOブームを巻き起こした蝶野が文句なしにMVPをゲットした。MVPの選考には蝶野と全日プロの3冠王・三沢、新日プロのIWGP王者・佐々木の3人が候補に挙がった。「試合に関しての完成度は三沢に尽きる」「G1、IWGPシングル、タッグの3冠を取った健介の実績は素晴らしい」という意見も出たが、得票は蝶野16、三沢6、佐々木0。例年なら決選投票、再決選投票までもめるMVP選考が、今年はすんなりと蝶野に決まった。
これまでのMVPは大きなタイトルやビッグマッチを数多くこなした選手が獲得していたが、蝶野の今年の主なタイトルはIWGPタッグのみ。ましてやメジャー2団体の3冠王、三沢と佐々木を撃ち落としての受賞は常識破りともいえる。
「破壊」を合言葉に蝶野が巻き起こした〝黒い革命〟は新日マットにとどまらず、プロ野球や競輪選手、さらには海外の有名ロックミュージシャンまでが賛同し、一大NWOムーブメントが起こった。NWOTシャツの売り上げは発売から1年もたっていないというのに約6億円。町にはニセモノまで出回り、新日プロの会場は黒一色、他団体でもNWO軍をマネた軍団も登場した。このエンターテインメント性が評価の大きなポイントとなったが、マット界の枠を飛び越えた蝶野の活躍はプロレス界全体の底上げに大きく貢献したことは間違いない。
ついにマット界の頂点にのぼった蝶野は「このMVPは来年の契約のいい材料になる」と来季に向けた皮算用を開始するなど相変わらず。蝶野は14日に渡米してWCWマットに出場。その足でドイツ遠征も控えており、国内外でひっぱりダコだ。MVP獲得が契約更新前ということで、さらにワル乗りしそうだが、破壊活動もこれまで以上に活発になるだろう。来年は団体の壁をブチ破って、夢をどんどん実現してほしい。また、それがMVPの宿命でもある。
[選考委員長]桜井康雄(東京スポーツ新聞社取締役編集局長)[選考委員]芳賀章(東京スポーツ新聞社編集局次長兼第2運動部部長)/堀内良夫(東京スポーツ新聞社写真部部長)/柴田惣一(東京スポーツ新聞社第2運動部次長)/寿浦恵一(東京スポーツ新聞社第2運動部主任)/平塚雅人(東京スポーツ新聞社第2運動部員)/楠崎弘樹(東京スポーツ新聞社第2運動部員)/高木圭介(東京スポーツ新聞社第2運動部員)/細島啓輔(東京スポーツ新聞社写真部員)/秋山直毅(東京スポーツ新聞社写真部員)/山口泰弘(サンケイスポーツ)/佐藤彰雄(スポーツニッポン新聞社)/宮本久夫(デイリースポーツ東京本社)/山崎照朝(東京中日スポーツ新聞社)/川副宏芳(日刊スポーツ新聞社)/福留崇広(報知新聞社)/栗原研一郎(内外タイムス)/浜部良典(週刊プロレス編集長)/小佐野景浩(週刊ゴング編集長)/波々伯部哲也(週刊ファイト)/菊池孝(プロレス評論家)/門馬忠雄(プロレス評論家)(順不同)