MVP オカダ・カズチカ
- 年間最高試合賞
棚橋弘至 vs オカダ・カズチカ
6月16日/ボディメーカーコロシアム/IWGPヘビー級選手権
- 最優秀タッグ賞
- 大森隆男&征矢学
- 殊勲賞
- 森嶋猛
- 敢闘賞
- アブドーラ小林
- 技能賞
- 中邑真輔
- 新人賞
- 橋本大地
- 女子プロ大賞
- 愛川ゆず季
- 特別功労賞
- 坂口征二
寸 評
この日行われた選考委員会で、最優秀選手の候補に挙がったのはオカダと棚橋弘至、ノア・森嶋猛の3人。オカダは1回目の投票で21票中16票という圧倒的支持を集めた。「棚橋を倒したインパクト。ベルトを落としてからも試合内容はよかった」「新しい時代を作った」「秒単位で進化していくのが見えた」「バランスの良さはジャンボ(鶴田)以来だ」などの称賛を受け、文句なしのMVPを受賞した。
プロレス界に新時代を到来させたニューヒーローが今年の顔になった。米国遠征から凱旋した1・4東京ドームで待っていたのは、横柄な態度を非難する大ブーイング。だがオカダは実力で雑音をねじ伏せた。
2月に棚橋から大金星を挙げてIWGP王座を奪取すると、その後の防衛戦も好試合を連発。6月に王座陥落するも、8月のG1では初出場ながら史上最年少優勝記録を打ち立てた。「カネの雨」を降らせるレインメーカー旋風を巻き起こし、集客面でも新日プロ快進撃の立役者となった。
25歳でのMVP受賞は、1982年の初代タイガーマスク(佐山聡)に並ぶ史上最年少タイ記録だ。30年前の佐山は「四次元殺法」でプロレス界に革命をもたらしたが、オカダはプロレスの基本中の基本技・ドロップキックに再び光を照らした。191センチの巨体と抜群の身体能力を生かし、クラシカルなプロレスの醍醐味を体現した。そこには「業界を引っ張る者として、昔からあるプロレスの魅力も伝えていく使命があると思ってる」というオカダの自負がある。
ともあれ若くしてプロレス界の頂点に立ったオカダは、受賞会見で持ち前のビッグマウスを連発。「まあ当たり前じゃないですかね。俺しかいないでしょ。最年少記録? タイってのが気に入らないですね。まあ、タイガーマスク以上の歴史を俺が作っていきます。今年だけじゃなく、来年もこれからも俺に注目してください」と“レベルの違い”をアピールした。
さらに年間最高試合でも6月の大阪大会で行われた棚橋とのIWGPヘビー級選手権が選出された。2007年の故三沢光晴さん以来となるダブル受賞の快挙達成で、もちろん史上最年少の“2冠”だ。棚橋とはすでに来年1月4日東京ドーム大会での再戦が決定済み。オカダは「俺からしたら(負けた試合なので)納得いってない。あの試合以上の試合をして、プロレス界の歴史を変えたい」と、MVP男としてIWGP王座返り咲きへの誓いを新たにした。「三銃士のファンも四天王のファンも、俺がもう一度引き戻して業界を盛り上げたい。まだまだ序章ですよ」。ノアの鉄人・小橋建太が引退表明した翌日に、超新星がMVPを受賞。2012年12月10日。プロレス界にとって、歴史的世代交代が完遂された日として記憶に残るに違いない。
[選考委員長]柴田惣一(東京スポーツ運動部専門委員)[特別選考委員]嶋田隆司(キン肉マン作者)[選考委員]大沢裕治(東京スポーツ運動部長)/平塚雅人(東京スポーツ運動部次長)/楠崎弘樹(東京スポーツ運動部次長)/水沼一夫(東京スポーツ運動部)/小坂健一郎(東京スポーツ運動部)/大島啓(東京スポーツ運動部)/岡本佑介(東京スポーツ運動部)/細島啓輔(東京スポーツ写真部次長)/秋山直毅(東京スポーツ写真部主任)/前田利宏(東京スポーツ写真部)/奥村展也(サンケイスポーツ)/仁木弘一(スポーツニッポン新聞社)/藤沢浩之(デイリースポーツ)/大西洋和(東京中日スポーツ)/小谷野俊哉(日刊スポーツ)/佐藤正行(週刊プロレス編集長)/門馬忠雄(プロレス評論家)/小佐野景浩(プロレスライター)/三田佐代子(サムライTVキャスター)(順不同)