MVP 棚橋弘至
- 年間最高試合賞
オカダ・カズチカ vs 中邑真輔
8月10日/西武ドーム/G1クライマックス優勝決定戦
- 最優秀タッグ賞
- 杉浦貴&田中将斗
- 殊勲賞
- 石井智宏
- 敢闘賞
- 大仁田厚
- 技能賞
- B×Bハルク
- 新人賞
- 赤井沙希
- 功労賞
- 佐々木健介/田上明
寸 評
最優秀選手賞の候補には棚橋、オカダ、中邑、柴田勝頼の4選手が名を連ねた。いずれも新日本プロレスの中心にいるメンバーで、同団体がいかに今年のプロレス界を独走したのかを象徴しているが、棚橋は1回目の投票で21票中18票という圧倒的支持を集め文句なしのMVPに。「今の新日本で中邑がたぎれるのも、オカダがカネの雨を降らせられるのも、真ん中に棚橋がビシッといるからこそ」「ファンサービス面でも地道な努力を欠かさない」と、リング内外での圧倒的存在感が再評価された。
今年は1月4日の東京ドーム大会で、中邑とのIWGPインターコンチネンタル王座戦がファン投票によりメーンに選出され、この大一番を制して同王座を奪取。4月の両国大会で中邑にベルトを明け渡したが、10月の両国大会ではAJスタイルズを撃破しIWGPヘビー級王座単独最多となる7度目の戴冠を果たした。8月のDDT両国大会参戦、9月は柴田との抗争など、年間を通じ高いレベルの試合を連発しマット界を盛り上げた。
2011年以来3年ぶりとなるMVPに返り咲いた棚橋は「非常にうれしいですね。状況的に突出した選手がいなかったのが今年だと思う。常に全力を出して良かったなと。それが10月のIWGPにもつながった。第4コーナーを回って差し切った、痛快な気持ちです」と喜びを爆発させた。
41回目を数えるプロレス大賞の歴史においても3度目の同賞受賞は偉業と言っていい。6度受賞のアントニオ猪木氏(71)、4度受賞の天龍源一郎(64)、武藤敬司(51)に次ぎ、故ジャンボ鶴田さんに並ぶ4位タイの記録となる。そうそうたるメンバーに“仲間入り”した棚橋は「あと上に3人しかいないじゃないですか! これはもう、身が引き締まる思いですよ。IWGPは全部の記録を塗り替えたので、次はプロレス界の記録を塗り替えたい」と豪語した。
昨年までは同じく新日プロのオカダ・カズチカが2年連続でMVPを受賞した。だが、これに待ったをかけたのはやはり棚橋だった。近年の新日プロをけん引した大黒柱が、再び“覇権”を奪回した格好だ。
文字通り業界の頂点を争うデッドヒートは、そのまま団体の世代闘争に直結する。来年1月4日の東京ドーム大会で控えるG1覇者・オカダとのIWGP王座初防衛戦は、現在のマット界の主役を決めるにはこの上ない舞台となった。「風向きが変わりましたね。2年連続MVPは予約しておきますよ。2015年を占う試合になる。今世紀最大の一戦、俺が勝利します」。カネの雨をやませて再び昇った太陽が、プロレス史にその名を刻み続ける。
[選考委員長]大沢裕治(東京スポーツ新聞社運動部部長)[特別選考委員]内館牧子(脚本家)[選考委員]初山潤一(東京スポーツ新聞社運動部副部長)/細島啓輔(東京スポーツ新聞社写真部副部長)/平塚雅人(東京スポーツ新聞社運動部次長)/秋山直毅(東京スポーツ新聞社写真部主任)/松本哲也(東京スポーツ新聞社運動部員)/水沼一夫(東京スポーツ新聞社運動部員)/小坂健一郎(東京スポーツ新聞社運動部員)/岡本佑介(東京スポーツ新聞社運動部員)/前田利宏(東京スポーツ新聞社写真部員)/柴田惣一(東京スポーツ新聞社専門委員)/仁木弘一(スポーツニッポン新聞社)/大島一郎(デイリースポーツ)/大西洋和(東京中日スポーツ)/桝田朗(日刊スポーツ)/吉松祐(サンケイスポーツ)/佐藤正行(週刊プロレス編集長)/門馬忠雄(プロレス評論家)/小佐野景浩(プロレスライター)/元井美貴(サムライTVキャスター)(順不同)