MVP 内藤哲也
- 年間最高試合賞
内藤哲也 vs オカダ・カズチカ
1月5日/東京ドーム/IWGPヘビー級・インターコンチネンタルダブル選手権
- 最優秀タッグ賞
- 杉浦貴&桜庭和志
- 殊勲賞
- 潮﨑豪
- 敢闘賞
- 高橋ヒロム
- 技能賞
- 遠藤哲哉
- 女子プロ大賞
- ジュリア
寸 評
MVP候補には内藤哲也、潮﨑豪、高橋ヒロムが挙がった。史上初のIWGPヘビー級&インターコンチネンタル2冠達成の功績に加え「コロナ禍で停滞を余儀なくされた業界を最も盛り上げた人物」などの評価から、1次投票で過半数を超える13票を獲得。さらにオカダとの2冠戦が自身初のベストバウトに選出された。
オンライン会見に出席した内藤は「東京ドーム2連戦を終えた時点で、今年のプロレス大賞はもらったなと正直思いましたけどね。(新型コロナウイルス禍で)終わってみれば、俺が思い描いていた1年とは違う1年になってしまったなという印象。思うようにいかないのも、内藤哲也らしい1年だったのかな」と振り返った。
プロレス大賞でも「2冠」を達成することになったベストバウトについては「印象に残ってるし、数年後にレスラー人生を振り返った時に絶対に思い出す試合。選んでいただいたのはうれしい」と笑顔を見せた。一方で感染症対策から授賞式が行われないと知るや、ウーバーイーツでファミレスから料理を取り寄せ「1人受賞パーティー」を敢行。その会計と、過去の電話取材時に勝手に1人で利用したファミレスのレシートまで本紙に押しつける制御不能ぶりだった…。
業界にとって試練の1年だった。超満員の会場、大声援の後押し…これまで当たり前だと思っていたものが当たり前ではなくなった。自身もかつては熱烈なプロレスファンだっただけに、複雑な思いを抱いていた。
「もしファンとして今の時代を迎えていたら、身近に感じていたプロレスを遠くに感じてしまっていたのかな、とか。マイナスを言いだせばキリがないですけど、無観客試合やその後の試合を経験して、改めてお客様のありがたさを認識できた一面もありましたね」
昨年は「右目上斜筋麻痺」の診断を受け、引退危機に直面した。刹那を生きるレスラーの宿命を悟った内藤は「今この瞬間は二度と戻ってこない」と、後悔を残さない戦いを心掛けるようになった。たとえ理想の環境が整わなくても、明るい未来が待っていると信じリングに上がった。
「オカダ戦がベストバウトに選ばれてよかったと思います。あの試合がスポットライトを浴びることで、またああいう空間をつくりたい、またああいうプロレスを見たいって思ってもらえるんじゃないかな。ファミレス取材もしばらくできてないけど、僕も寂しかったわけで。デリバリーすることで、少しは思い出してもらえたでしょ?」とメッセージを送る。
「来年の目標? 最高の空間で、最高のプロレスがしたい。それはレスラーだけではつくれないはずです。過去にはドームツアーとかも掲げましたけど、今はそういう大きな目標より、またプロレスをみんなで楽しめる日が来ることを第一に考えるべきなのかな。もちろん、そのための準備は常に整えてますよ」 ファンと寄り添い、ともに試練を乗り越える姿勢を示し続けた内藤は、2020年のマット界を背負うにふさわしいプロレスラーだった。
[選考委員長]大沢裕治(東京スポーツ新聞社運動部部長)[選考委員]平鍋幸治(東京スポーツ新聞社編集局長)/沼田潔(東京スポーツ新聞社総合制作部本部長)/細島啓輔(東京スポーツ新聞社写真部副部長)/初山潤一(東京スポーツ新聞社運動部副部長)/平塚雅人(東京スポーツ新聞社運動部専門委員)/楠崎弘樹(東京スポーツ新聞社運動部次長)/秋山直毅(東京スポーツ新聞社写真部次長)/瀬谷宏(東京スポーツ新聞社運動部次長)/小坂健一郎(東京スポーツ新聞社運動部主任)/前田聡(東京スポーツ新聞社運動部主任)/岡本佑介(東京スポーツ新聞社運動部部員)/岩田大補(東京スポーツ新聞社写真部部員)/洪経人(デイリースポーツ)/大西洋和(東京中日スポーツ)/高場泉穂(日刊スポーツ)/酒井隆之(報知新聞社)/湯沢直哉(週刊プロレス編集長)/門馬忠雄(プロレス評論家)/小佐野景浩(プロレスライター)/元井美貴(プロレスキャスター)/今野利明(サムライTVプロデューサー)(順不同)